ミノキシジル以上の発毛効果!?「キチンナノファイバー」とは?
2018/12/31
2018年7月7日に「キチンナノファイバー」という蟹(カニ)由来の成分が、様々な新聞や報道機関で報道されました。
各ニュースによると、この「キチンナノファイバー」は、ミノキシジル以上に発毛効果があると、言われています。
果たして、この「キチンナノファイバー」とは一体どんな成分なのか、本当に育毛の救世主となれるのか、見ていきましょう。
「キチンナノファイバー(CNF)」は鳥取大学が研究する「カニ殻」由来の新素材
この「キチンナノファイバー(CNF)」は、鳥取大学によって研究されている成分です。
今回、発毛効果に関する研究を行い、その効果が立証できたため改めて報道されましたが、実はこの新素材自体は、以前から鳥取大学で研究が行われていました。
様々な新技術の開発とその技術の製品化を実現するために、鳥取銀行が主導をして企業と大学などの研究機関をマッチングしており、その中で2013年にすでに新素材として紹介されています。
この資料によると、キチンナノファイバーは健康食品などで活用されていた「キチン・キトサン」とほぼ同類のようです。
「キチン・キトサン」は発毛効果が発見される前から、様々な効果が確認されており、すでに多くの製品に活用されているようです。
- 抗菌、保湿効果による化粧品などの添加物
- 人工皮膚
- 関節痛の改善サプリメント「グルコサミン」の原料
「グルコサミン」は、一時期CMにもなっていたため、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
この「キチン・キトサン」と「キチンナノファイバー(CNF)」の違いは、製造方法や抽出したあとの形状のようです。
「キチン・キトサン」は粉末でしか抽出できず、水の溶けないという課題があったようで、それを克服したのが「キチンナノファイバー(CNF)」です。
「キチンナノファイバー(CNF)」の製造方法などを発明し、この新素材を開発したのが鳥取大学のチームで、2013年に鳥取銀行から発表があったこの当時から、いくつか製品化が進められていたようです。
例えばプラスチックと混ぜて強度がより高い透明なフィルムを作ったり、また皮膚の再生やアンチエイジングといった効果も認められていたようです。
鳥取大学が行った発毛効果の研究とその結果
鳥取大学は、様々な効果が認められていた「キチンナノファイバー(CNF)」を使って、今回は発毛の効果を検証する実験を行ったようです。
きっかけは、動物用医薬品に使われている中で、使用した際にその周辺の毛が生えそろうところから、発想を得て、発毛効果の調査に着手したようです。
研究では、マウスの皮膚による動物実験と、人間の毛乳頭細胞(毛根の中にある、毛を生やす原点となる細胞のこと)を利用した2種類の実験が行われています。
マウスのほうは、毛を剃った皮膚にこの「キチンナノファイバー」の形状を変化させた「キトサン化CNF」という成分を塗って、その経過を確認したようです。
比較対象としては、ミノキシジルだけでなくそのほかの様々な育毛効果があると言われている成分と比較したようです。
結果的には「毛の長さ」、「毛の面積率」、「成長期の毛根数」といった、発毛を細かくチェックする各数値で、この「キトサン化CNF」が「ミノキシジル」の効果を上回ったとのことです。
人間の毛乳頭細胞での実験でも、「血管新生量」、「毛母細胞の活性化量」、「毛乳頭細胞の増殖性」の数値で、「キトサン化CNF」が「ミノキシジル」の効果を上回ったとのことです。
ミノキシジルも明確なメカニズムは確定してはいないものの、この毛母細胞や毛乳頭細胞、その周辺の毛細血管が活性化し、量が増えたりすることで、発毛効果があると言われていますから、作用という点では「ミノキシジル」に近いものがあるかもしれません。
そしてミノキシジルよりも高い数値を出したというところも、非常にインパクトが大きいです。
ミノキシジル自体も、もともとは高血圧の薬として利用されていたところ、副作用として毛が増える効果があることが確認され、そこからファイザーという有名な会社が育毛剤を作り出しています。
もともと別の用途として使われていたところに、副作用的に毛が生えてきた、という点は、ミノキシジルが発見された当初と近い状況であるともいわれています。
キチンナノファイバー(キトサン化CNF)を含む製品はあるのか?
このキトサン化CNFに近い成分が含まれているものは、すでに化粧品などで製品化されています。
化粧品として販売されている商品名は、「素肌しずく うるおいミルク」です。
引用:アサヒグループ食品 https://www.asahi-fh.com/shizuku/milk/
含まれている成分は「マリンナノファイバー」と記載されていますが、これは鳥取大学のチームが経営する会社「マリンナノファイバー」が特許技術として取得している名前のようです。
正確には、より極細で生成されたキチンナノファイバーを「マリンンナノファイバー」と呼んでおり、その形状や製造技術に特許があるようです。
成分はこの「マリンナノファイバー」ですが、この商品自体のメーカーは「アサヒ研究所」が開発、「アサヒグループ食品」が販売という形をとっています。
化粧品がすでに発売されているのもそうですが、会社も飲料水で有名アサヒグループから発売されている、というところはポイントが高いですね。
化粧品として商品が発売される前には、成分自体の肌に対する安全性が必ず確認されているので、この成分の使用については安心と言えます。
今回の報道を受けて、頭にこの商品を塗るべきかどうか、は賛否が分かれる話しかもしれません。
効果があるとはまだ言えない状況ですし、肌への塗布については安全性が確認されているとはいえ、通常の肌と頭皮ではまた話しが変わってくるかもしれません。
とはいえ、もし先取りして挑戦してみたい方がいたら、ダメもとでも挑戦してみるとよいかもしれませんね。